国家に真の友人は居ない。 そこにあるのは、利害の一致と利権の対立。 そしてその結果生じる戦争と、 その合間に生じる束の間の平和。 それだけだ。 話は少し前後する。 十字軍遠征が本格化してきた頃の話だ。 廃坑巡回の最中に、ある異変に遭遇した。監察官の一人が、満身創痍で逃げ延びてきたのだ。 支援職の実力派であった彼を追い込んだものは何だったのか、私はすぐさま廃坑へ飛んだ。 第一次・諜報戦争勃発とその顛末 #
by fellmer_folkgein
| 2006-01-29 15:10
| 王国正史・フェルマー伝
諸君! これは聖戦だ!! 我らが守るべき市民のために、 そして王国を勝利のために 成すべきことは、 最前線で戦う兵達から、 後顧の憂いを無くすことにある! それが、 我々情報将校に課せられた使命である! 強大な力を持つ貴族、高官、将軍であろうと恐れる必要は無い! どんなに小さな犯罪の芽も見逃すな! 手段は選ばずとも良い! 歴史の必然が、 我々の行いを正当化するであろう!! パチパチパチ・・・ 乾いた拍手の音が、寂しい宿屋で虚しく響く。 「やっぱこういう演説は、お前がやるとサマになる」 「せっかくのほめ言葉ですが、これはあなたの役目なのではないかと」 廃坑探索を開始して早3ヶ月、我々は予想を超えた成果を挙げ、そしてその結果に落胆していた。 「俺らがこうして監察してるという事実、それ自体が汚職への抑止力になるんだ。そう腐るなって」 師・ベントラーの前向きな言葉も、そのときの私には詭弁にしか聞こえなかった。 いったいそこには、何が眠っていたのか。 いったいそこで、何が起こったのか。 その時、歴史は動いた。。。 #
by fellmer_folkgein
| 2006-01-22 13:27
| 王国正史・フェルマー伝
ミョルニール廃坑とは、 ゲフェンの北、 あるいはアルデバランの東に 発見された、 炭鉱の成れの果てである。 しかしながら、 そこに眠る資源はいまだ豊富であり、 冒険者たちの手により持ち帰られた鉱石類が、 莫大な富をもたらしているという。 冒険者達よ! そして聖戦に備える者達よ! 己の使命を全うするために必要なものが、この場所に眠っている! 危険と困難を乗り越えて得られる財産は、諸君らの血であり、肉である! 若人よ、廃坑を目指せ! このような訓示を、新米の冒険者には必ず言って聞かせている。かく言う私も、かの地で財を成し、そして今の地位への足がかりとした経緯を持っている。 鉱毒に汚染され、危険なガス状の怪物にが発生している。 坑夫たちの屍骸も、ゾンビとなって徘徊している。 危険なダンジョンと化しているが、その最深部まで足を伸ばし、生きて戻って来れば一人前である。 さて・・・ 利権には謀略が付きまとう。 資源ばかりか、財宝まで眠るという鉱脈を封鎖した意図。 閉山後、坑内を迷路に作り変えた意図。 発掘に正規の部隊を出さず、冒険者を雇う王侯貴族たちの意図・・・。 そして、 鉱山に関わり命を落とした官・民・武人たちの遺図 複雑に絡み合う権謀術数が、 巨大な悪となって我々の前に存在しているに違いない。 元老院特務監察室は、総力を挙げてその調査に着手したのであった。 #
by fellmer_folkgein
| 2006-01-09 23:19
| 王国正史・フェルマー伝
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