クルセイダーの本懐とは、守ることにこそある!
愛する人、家族はもちろん、 この城、この土地、この国の人々を守らねばならぬ。 神の教えと教会も、守られるべき心の砦である。 だが、 何より己自身の命、 己自身の誇りと矜持を守れずして、 どうして神に仕える騎士を名乗ることが出来ようか!? 諸君! 剣を取れ!武勇を磨け! 書を読め!智謀を備えよ! 我々と共に、王国の繁栄を守るのだ! グランドクロス!! クルセイダー創設時より、十字軍の在り方については議論が絶えなかった。 教会を守る秩序の盾としてのクルセイダーを提唱していたのは元老院、これに対し枢機院は、異教徒に対する遠征や異端者の排除を使命とする真理の剣として、外向きの戦力にしようとしていた。 両院の主張が平行線のまま、いたずらに時を費やしている最中、枢機院のタカ派が提唱したのが、十字軍運動・・・あるいは十字軍演習と呼ばれる集会であった。 樹々の緑が色濃く映える初夏、ゲフェン西門に集結し、グラストヘイム遠征などを行う十字軍の集会の、記念すべき第一回が行われたのだ。 枢機院急進派の独走だったため、当局がその動きをキャッチできなかったというのが元老院の公式見解だが、意図的に我々に知らせなかったと見る向きもある。 その証拠に、特務監察室に報告が入ったのは、翌日の真昼だった。 室長・ベントラー大佐と違い、私は十字軍の理想に燃えていた。思想的に対立する勢力の主催であったとしても、クルセイダーの矜持を持つ私には参加する義務がある。 当時は、そう信じて疑わなかった。 枢機院過激派の監察と同時に、十字軍演習を調査する専任のチームを設け、私自身が班長となってその動きを追った。 そして、第2回十字軍祭の開催日を突き止めることに成功。意気揚々と、自説を抱え会場へと向かったのであった。 その後の十字軍演習は、 両院の思惑を超えて、十字軍騎士たちの関心を集めた。 私の予想を越えて、イベントとして盛隆を極めた。 クルセイダー同士の情報交換や交流の場として、 十字軍祭という名で、 広く大陸全土に浸透して行ったのだ。 しかも、その早きこと、まさに風の如しであった。
by fellmer_folkgein
| 2006-02-23 22:29
| 王国正史・フェルマー伝
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