廃坑編終章 某国諜報機関との死闘と特務監察室の最後

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国家に真の友人は居ない。
そこにあるのは、利害の一致と利権の対立。
そしてその結果生じる戦争と、
その合間に生じる束の間の平和。

それだけだ。




話は少し前後する。
十字軍遠征が本格化してきた頃の話だ。

廃坑巡回の最中に、ある異変に遭遇した。監察官の一人が、満身創痍で逃げ延びてきたのだ。
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支援職の実力派であった彼を追い込んだものは何だったのか、私はすぐさま廃坑へ飛んだ。







毒ムカデ・・・
 そう呼ばれる情報機関があるという噂は聞いていた。
 北の共和国所属の組織であるという説が濃厚だが、公式には存在を認めてはいない。
 その実態は謎に包まれている。
 何らかの政治的な意図を汲んで現れたのか、それとも一部の跳ねっ返りによる暴走か、理由は定かではない。

しかし、その目的は明らかである。
 第一に、王国側の冒険者の排除。
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 やつは、モンスターの大群を誘導し、一攫千金を求めてやってくる者たちを襲わせていたのだ。
コレを続けることにより、共和国側で資源の独占を企てたのだ。


 第二に、先に述べた炭鉱閉鎖にまつわる事件の証拠の収集だ。
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 この一件でその名が知られるようになった文官、アドルフ・フォルクゲインの失脚と、無期限凍結となっていた領土割譲要求を再開する口実を得るためである。

 想定されてしかるべき事態ではあったが、なんら対策が施されていたわけでもなく、対処に当たることができたのも我々だけであった。
 結果的に、奇襲を受けたようなものである。不覚にも、この私までが倒されるほどであった。

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 危機的状況を救ってくれたのは、その場に居合わせた冒険者達であった。彼らと出会わなければ、このまま虚しく朽ち果てていくところであった。
 命の恩人たち、そして援軍有志達の協力を得て、卑劣な殺人者を迎え撃つべく陣を張った。
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 ところが、特殊工作機関・毒ムカデのエリートは、一筋縄ではいかなかった。
 陣を張ったとはいえ、急ごしらえの部隊である。明らかに、殺しを目的とした人間の襲撃に戸惑い、時には脆くも崩れた。それでも、我々は奴の犯罪行為を止めるべく戦い続けた。
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 結局、多大な犠牲を払ったにもかかわらず、犯人は取り逃がすこととなった。このときの甚大な被害は、人員、物資の損害、そして深刻な士気の低下により、元老院特務監察室の存続を不可能にするほどであった。

「あいつの背後関係を証明する証拠が挙がらない限り、共和国の陰謀につなげる事はできねぇ。なんとか、例の場所に近づけることは防げたが、これ以上は俺たちの力ではどうにもならん」
 いつもは強気で前向きなベントラー元大佐も、このときばかりは、ただただ嘆くばかりであった。
「そろそろ、潮時なのかも知れねぇな」
 この時点で、二人しか残ってはいなかった。つまり、私が賛成してしまえば全会一致で特務監察室の解散は可決してしまうという状況だった。
 我々には、武運がなかったのだ。
 だが、我々には正義がある。
 隣国との緊張が高まる今日、我々のような情報機関は必要不可欠なものであるはずだ。
 ここで、その先駆である元老院特務監察室を潰してはならない。

「民業を隠れ蓑にし、ついでに予算を獲得してみては?たとえば、そう・・・冒険者の宿などいかがかと。」

 こうして、冒険者の宿・ベントラー亭が開店し、この宿屋を隠れ蓑とした情報機関が、今後も暗躍していくのであった・・・。
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by fellmer_folkgein | 2006-01-29 15:10 | 王国正史・フェルマー伝
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